8月21日の「とくダネ」で紹介された絵本「ママがおばけになっちゃった! (講談社)」は、「死」という重いテーマを扱っているにも関わらず、現在、大ヒット中。番組では、実際に2人の子供にこの絵本を読み聞かせているママを取材した。
「ママがおばけになっちゃった!」とは?
「ママがおばけになっちゃった!」は、4歳になる男の子・かんたろうの母親であるちょっとおっちょこちょいなところもあるお母さんが、ある日交通事故で死んでしまうところから始まる。
「おばけ」になってしまったママは、息子を心配するあまり夜中の2時になると、かんたろうの部屋に現れるようになる。
おばけになったママと残された息子。
これから一人で生きて行かなければならない息子を励ますお母さんと、大好きなママへの想いを抑えられないかんたろう。
「死」という避けられない壁によって離ればなれになってしまった親子の、笑って泣けるハートフルストーリーなのである。
作者はのぶみさん
「ママがおばけになっちゃった!」の作者は、絵本作家ののぶみさん。
のぶみ : 1978年、東京都生まれ。多くの作品を発表。絵本作品は160冊以上にのぼる。NHK「おかあさんといっしょ」で「よわむしモンスターズ」の、NHK「みいつけた!」では、「おててえほん」のアニメーションを担当するなど、幅広く活躍している。東日本大震災でのボランティア活動をもとに書いたエッセイ・コミック『上を向いて歩こう!』(講談社)は森川ジョージによるリメイク版が生まれるなど、数々の話題を呼ぶ。福島応援キャラクター「あたまがふくしまちゃん」を制作(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
【参照】ローチケHMVホームページ
ママがもし死んじゃったら?
子供にとって「死」というのは、未だ未知の領域であり、それがいったいどういうものなのか想像もつかない(想像もしない)現象だろう。
例えばアニメや特撮ものといった子供番組では毎週のように悪い怪人が悲惨な「死」を迎えているが、子供達がそれを大人と同じ様に「死」と認識しているかは疑わしい。
「死」=「いて当たり前のお母さんがいなくなる」という「もしも」に遭遇した時、子供達がどのように考え、想像するのかは非常に興味深いし、考えさせる価値のあることだと思う。
実際に番組内で「ママがおばけになっちゃった!」の読み聞かせを行った親子にしても、最初に泣き出してしまったのは、お母さんの方だった。そして、真剣に絵本に向き合っていた子供達も、やがて「大好きなお母さんがいなくなる」ことの重大さに気付き、涙してしまった。
漫画やアニメ、ドラマなどの世界では、人が死ぬ・殺されることがもはや当たり前のように描かれ過ぎていて、大人はもちろん、子供たちの感覚も多少麻痺してきているのではないかとも感じる。
ゲームでは、死んだキャラクターが生き返るという場合も多いことから、本当に「人は死んでも生き返る」と信じている子供もいると聞いたことがあり、愕然とした記憶がある。
そういう意味でも、子供達を無理に悲しい気持ちにさせる必要はないが、早い段階で「死」や「大切な人との別れ」というものが存在することを教えるのは、決して悪い事ではないだろう。
6ヶ月の息子がもう少し大きくなったら、読み聞かせ、一緒に考えてあげたいと思う。
ちなみに、パパが死んじゃうマンガもあります
「おい、おい。パパも死んじゃうかもしれないぞ!」という全国のパパにおすすめなのがこのマンガ「MAJOR」である。
少年サンデーに長らく連載されていた大人気野球コミックで、最近になって今作の主人公の息子を主人公にした(ややこしい)新作が始まっている。
ストーリーを簡単に。
主人公の吾郎はプロ野球選手を父に持つ野球少年。
幼い頃に母を亡くし、父親と二人で暮らしている。
その父親はピッチャーだが怪我などもあり引退の危機。起死回生の秘策として「バッター転向」を決意した父親は見事チャンスをものにし、大活躍する。
その矢先、ライバルチームに鳴り物入りでやってきた外国人ピッチャーの豪速球を頭に受けるというアクシデント。
その試合の夜、父親は自宅の布団で死亡、それを発見したのは息子の吾郎だった。
一人残された吾郎の運命やいかに。
というあらすじを聞いただけでも悲劇すぎる吾郎少年が、友人や大人達の支えや励ましを受けながら、一人の人間として野球人として成長して行く姿を描く物語である。
これはもはや「野球マンガ」というより「人生マンガ」であると言っても過言ではない。
相当長いが読む価値あり。