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漫画「orange(オレンジ)」<2巻>感想ネタバレ考察★未来からの手紙が届いたのは菜穂だけではなかった?

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P1170796

未来の自分から届いた謎の手紙には、これから自分の身に起こる出来事がすべて記されていた?

松本の高校生・菜穂が受け取った一通の手紙をめぐる、青春と友情の物語、漫画「orange」2巻の感想とネタバレと考察。

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「Orange」2巻 Letter5の考察

5月24日の手紙

この日から一週間、翔は学校を休む
どうしたのかと聞いてみても翔は答えなかった
今考えると、この日は翔のお母さんの四十九日だった
翔のお母さんは4月6日の始業式の日になくなったと
翔が亡くなった後に聞いた

期末テスト前で部活がない生徒たち。
手紙に書かれている内容から、少しずつズレが生じている。
過去では、6人で一緒に帰ったり、土日に6人でテスト勉強をするはずだが、現実では、「菜穂と翔が二人きり」の場面が多くなる。それは、須和を筆頭にした仲間たちの策略であるのだが、菜穂には当然、それがわからない(どれだけ察しが悪いのか。過度の天然か?)
城山公園で翔と二人きりになった菜穂は、弁当やモーニングコールのお礼として、髪飾りをプレゼントされる。
涙を流して喜ぶ菜穂。
翔にとっても女の子にプレゼントをあげるのは初めてらしいが、そういう状況でプレゼントをあげていきなり泣かれたら、相当動揺するだろう。

菜穂はこの時点で「好きだよ。私、翔のことすごく好き」と自らの気持ちを確認している。

菜穂は、翔から土日の受験勉強に誘われ、うかれる。
翔と二人向き合いながら、改めて翔を救いたいと思う菜穂。

授業のおまけとして話題になった「パラレルワールド」=過去と未来がいくつも枝分かれして、平行に存在する世界のことが説明される。
現在、菜穂たちが生きている世界と手紙が書かれた世界がまったく別の「パラレルワールド」だとすれば、未来が変わる可能性はあるだろう。
しかし、「その手紙はどこから来たのか?」という謎は解決されない。
手紙が書かれた世界と現在、菜穂が生きている世界は別の物なので、物質が行き来することはあり得ないと考えるのが妥当だろう。

この世界にパラレルワールドが存在するとすれば、現在菜穂がいる世界では翔を救えても、別の世界では翔はやはり救えない。
それを想像した菜穂は、泣き始める。

「ごめん、もう一つの世界の翔、ごめんね」

菜穂という人間は、どれだけ純朴な人間なのか?
あるかどうかもわからない世界の、いるかどうかもわからない友人のことを想い、涙し、自分には何の非もないのに謝る。
もし人類が皆、菜穂のような人間なら、争いごとも戦争も起こらないだろう。
だからこそ、菜穂という人間に「こんな奴いねえよ感」が漂ってしまうことは否めない。
人間が、こんなに純朴でたまるか!というひねくれた見方をするのが、普通の人間である。

それとも、これが「青春」の正しい姿なのか?

おじさんは、もう忘れてしまった。

「Orange」2巻 Letter6の考察

菜穂に勝るとも劣らない「人間離れしたいい人」それが須和という男である。
須和は菜穂のことが好きなのだが、菜穂の気持ちに配慮し、その想いを断ち切って、翔に「好きな女性」を譲ろうという、これまた奇特な男である。
周囲の人間、すべてが気づいているその想いに、当の本人である菜穂だけが気づいていない。
しかも、萩田によって「須和のすきな人は菜穂」と自分の目の前で発表されているにも関わらず、「そんなわけない。誰だろう?」と思ってしまう思考が、もはやよく分からない。

須和は須和で、アクシデントから菜穂の「腕」を握ってしまっただけで、翔に謝るという迷走ぶりである。
菜穂は翔のものでもあるまいに、何をそこまで気を使う必要があるのか。
そもそも、翔が転校してくるより先に、須和は菜穂と友人関係を築き、行動をともにしていた訳だから、今更「腕を握った」くらいであたふたするものではない。

この物語の主登場人物であるこの菜穂を中心とした6人組の問題は、「誰もが底抜けに良い人」ということである。
それぞれがお互いに対して、使いすぎるほどに気を使い、誰か一人を応援したとしても、もう一方へのフォローを忘れない(菜穂をめぐって翔と須和、どちらを応援するか問題)。

彼らの行動がすべて「清廉潔白」すぎて、人間味が感じられないのである。
その意味では、翔の元彼女である上田先輩の方がよっぽど人間らしい。
好きな人間には強引にでもアプローチして自分のものにする。彼氏が他の女と楽しそうに話していたら嫉妬する。気に入らない女には、いやがらせの一つでもしたくなる。
上田先輩は紛れもなく悪役だが、その行動はいちいち人間くさく、共感すら覚える。

須和だって、菜穂を奪われた悔しさを部活にぶつけ、翔には特別激しくディフェンスしてしまう、といった「人間らしい部分」があっても良さそうなものだし、その方がキャラクターに深みがでるというものだ。

「Orange」2巻 Letter7の考察

翔の口から飛び出した、「須和、萩田、俺。告白されたいのは誰?」クイズ。
顔を赤らめて「き、決められない」と言うくせに心の中では、「そんなの誰が一番かなんて決まっているけど、言えるわけない絶対!」と思っている菜穂。
そこへやってきたアズが、「うちら女子3人の中で告白するなら誰がいい」と言いだすと、翔は「言わない」と答えた。
それに対して、菜穂の感想は「聞きたかったな、アズかな、貴ちゃんかも」というもの。
どうして「自分である」という可能性をみじんも考えないのか?
普通ならば「もしかしたら私かも、ううん、きっと私よ」と思うものだろう。
これまで菜穂と翔が二人で過ごした時間のことを考えれば、「自分が翔の意中の人間であるとまったく思わない」なんてことがあってたまるか!
と小生は思うのである。

対して、翔の「好きになってもいいのかな?選択肢が、どれを選択したら間違いじゃないのかわからない」という想いには、理由があるだけに納得できる。
彼は、選択を間違えたことで、母を自殺で失った。
まっすぐ家に帰るべき日に帰らなかったから、母は死んだ。真相はどうあれ、翔はそう思っているはずだ。
彼は「自らが選択」することでもう「後悔」をしたくない。
菜穂を「好きになるという選択」によって、「後悔」しないか、間違いではいか。翔が不安に思う気持ちは理解できる。

紆余曲折あって、一緒に花火をみることができた菜穂と翔。
菜穂が勇気を出して、「3人の中で翔に一番告白されたい」と文字通り「告白」する。この瞬間、須和が完全にレースから脱落しているという事実が判明する。
それに対して翔は、「俺は三人の中で菜穂に一番告白したい」
まさにこれこそ「告白」である。
通常、これで「契約」が成立、晴れて二人は彼氏と彼女になり、不純異性交遊という名の交際が始まる。はずだと思うのだが、そうならないのがこの二人、この物語である。
この後、もちろん物語は続くが、二人は依然「つかず離れずの恋のシーソーゲーム状態」である。
おかしかないかい?と、思うのは小生だけだろうか。
小生が須和なら「もう生き地獄なので、早いところブログで交際宣言してください」と叫びたいところだ。

「Orange」2巻 Letter8の考察

物語は10年後の未来、菜穂たちが翔の祖母を訪ねたところから始まる。
そこで翔が祖母に残した手紙の存在が明らかになる。
そこには「僕に何かあったらみんなには事故だったと伝えて下さい。母さんのところへ謝りに行ってきます」と記されていた。
確かに、「自殺をする人間の遺書」であると考えて間違いないだろう。
やはり母親の死に対する責任を感じていたことが、死の引き金になったのか。
ただ、「事故だったと伝える」のは、状況によっては難しいだろう。
事件が調査され、警察が自殺だと判断すれば、それは公には「自殺」である。
しかも、翔は、自転車に乗っていて車と激突した交通事故死だったようだ。
もし、翔が自ら車に飛び込んで自殺したのであれば、それはもう身勝手な迷惑行為でしかない。
翔を殺してしまったドライバーは、その家族は、それから「殺人者とその家族」という十字架を背負って生きていかなければならないのだ。
彼らには、翔の大嫌いな「後悔」しか残らないだろう。
「あの少年をひき殺しさえしなければ」
彼らはその後悔をずっと引きずりながら生きていく。そしてその原因を作った悪魔のような男は、死から10年経っても同級生から愛され続けている。
翔を思って流す彼らの涙が、まったくもって的外れな物に思えて仕方がない。

いつになったらつきあうのか問題再び

そろって浴衣を着てお祭りに行く菜穂と翔。
屋台のおにいちゃんにカップルと間違われ、否定する。
いや、普通そう思うでしょう?と多くの読者がつっこみを入れるところである。
菜穂は、「そういえば翔の気になる人ってダレ?」と聞く。
えーっと、プールサイドで花火を見たときの、あのやりとりは何だったんですかね?
もう、分かってますよね?お互いの気持ち?
そういう前提があってなお、その質問するというのは、よっぽどのとんちんかんか、若年性健忘症としか思えないのだが。
そして、翔が「気になる人が好きな人になった」と宣言すると、菜穂は「できたんだ、ちょっとショックだなあ」と落胆する。
もう、ためいきしか出ない。

翔は、母の自殺を自分の責任だと思っている。
精神的に不安定な状態だった母。
彼女との約束を破り、菜穂たちと行動をともにしてしまった結果として、翔の母は自殺する。
本当にそれが自殺の原因であったかは、今となっては分からない。だが、分からないこそ悩み続けなければならないこともある。
翔は、「母のために家に帰ること」を「面倒くさい」と思った。
おそらく、母親の調子は東京にいるころから芳しくなかったのだろう。翔は優しい人間なので、それを一生懸命に支え続けた。その反動が、一時の気の迷いとなり、最悪の結果を招いていてしまった。
彼の心を支配するのは、「後悔と罪悪感」。そのどす黒い感情が、翔を母親と同じく、死の世界へと導いていく。

ある日、部活に顔を見せなくなった翔を心配して、須和が菜穂のところにやってくる。
手紙のこともすべて話して相談しようと決意する菜穂だが、逆に須和から「届いた?手紙」と問われてしまう。
菜穂は「うん、届いた。私から」と答える。
つまり、総合して考えると「須和のところにも未来の自分からの手紙が届いている」ということになるのだろう。

この物語の魅力、というより「おもしろそうだな」と思わせた理由は、「未来の自分から届いた手紙」という魅力的で大きな謎があるからだ。
読者の多くは、「その手紙はいったいどういうものであり、ダレが、なぜ、どうやって過去に届けたのか?」という「謎」の真相が知りたいのである。
それなのに、主人公の菜穂は、不思議な手紙の存在を当たり前のようにすんなりと受け入れ、手紙の指示通りに行動する。
それと同時に、翔とのとんちんかんなやりとりを繰り返し、菜穂に想いを寄せるに寄せられない須和を日々苦しめるのである。
菜穂は、罪な女である。

いよいよ最終ページにして、「手紙の謎」に進展がありそうなので、いささかほっとしている。
翔と菜穂の恋の行方もさっさと進展してほしいものだ。

→「Orange」3巻の考察に続く

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