神紅堂書店

人生をちょっと楽しくする無秩序コラムブログ

コンテンツ 本と映像 漫画

漫画「orange(オレンジ)」<1巻>感想ネタバレ分析レビュー 未来から届いた手紙を巡るパラレルワールド・ラブストーリー 

更新日:

P1170796
漫画「orange (オレンジ)」は、漫画家・高野苺によるSF要素を取り入れたラブストーリー。別冊マーガレットから月刊アクション』(双葉社)に移籍をして、現在不定期連載中。単行本は既刊4巻が刊行されている。

2015年12月には実写映画の公開が決定しており、ニセのキャスト情報が流出して、作者がツイッターで否定するなど、今から話題になっている。(けれど、本作のファンであれば、実写版は期待しないほうがよかろう。原作もの映画はたいていコケる。おもしろくない)

物語の舞台は作者が住む長野県松本市。

ちなみに、長瀬智也主演で人気を博したドラマ「白線流し」も、長野県松本市を舞台とした松本北高という架空の学校に通う生徒たちの青春群像劇である。90年台に青春を過ごした世代の中には、本作「orange」と「白線流し」をダブらせて読んでいる人もいるかもしれない。

目次

orangeの主要キャラクター

高宮 菜穂(たかみや なほ) 魅惑の引っ込み思案ガール

本作の主人公である高校2年の女子高生。始業式の日に10年後の未来に生きる自分からの手紙を受け取り、その手紙にある時は助けられ、ある時は翻弄される。転校生の成瀬 翔に行為を寄せるが、天性の才能である「引っ込み思案とネガティブ思想」が邪魔をして、一向にその恋仲は進展せず、読者をやきもきさせる。

成瀬 翔(なるせ かける) 影と光を併せ持つ傷心お悩みボーイ

東京から母親と一緒に松本へ引っ越してきたばかり。転校初日から菜穂たちのグループと仲良くなるが、実はその日に母親が自殺をしていたことが後で発覚。母親を守れなかったという罪悪感から心に傷を負い、悩んでいる。同じく菜穂に想いを寄せているにも関わらず、はっきりとしない現代草食系男子の系譜を継ぐイケメン。

須和 弘人(すわ ひろと) とっても良い奴なのに見た目のチャラさで損をする男

奈穂に想いを寄せているが、翔の登場によりあっさりと身を引いた阿呆なんだかか、いいやつなんだか分からない男。

背が高く、サッカー部に所属する人気者でマネージャーから好かれている。手紙が書かれたであろう10年後の未来の世界では、菜穂と結婚し、子どももいる。

萩田 朔(はぎた さく) イケメン2人を引き立てる悲しきメガネくん

菜穂たちのグループに所属する唯一無二の眼鏡少年。お笑いや漫画が好きで、その行動はかなりシュールだが、ある意味自分を持っているとも言える。翔と弘人というイケメンツートップを引き立てる、ハンバーグにおける甘めのニンジングラッセ、もしくはバターで炒めたコーンのような存在。

村坂 あずさ(むらさか あずさ) ポップでキュートな8時ちょうどの女

通称:アズ。菜穂の親友で同じグループに所属するパン屋の娘。明るい性格で何事にもポジティブ。名前の由来は狩人のあずさ2号だが、このネタは現代の女性中高生の胸に響くのかが心配。萩田との名コンビはすでに夫婦漫才のレベル。

茅野 貴子(ちの たかこ) 黒髪のクールビューティー

菜穂の親友で同じグループに所属するクラスメイト。勝ち気な性格でクールビューティー。曲がったことが大嫌いで、気に入らないものには完全と立ち向かう勇気と強さと怖さを併せ持つ。

1巻のあらすじ〜はじまりは「未来の自分から届いた手紙」

letter1 東京から来た転校生と謎の手紙

春。

高校二年生になった高宮菜穂は、始業式の日に「自分から届いた手紙」を手にする。

それは、「10年後の未来に生きる自分自身」が書いた手紙であり、始業式の日に寝坊したことや東京から成瀬翔という名前の転校生がやって来ることも書かれていた。

放課後、菜穂と同じグループのリーダー的存在である須和弘人が、翔に声をかける。

しぶる翔を強引に誘う仲間たち。しかし、菜穂が手にした手紙には「この日だけは翔を誘わないで欲しい。絶対に」と書かれていた。

結局、翔は菜穂たち5人と一緒に帰ることになり、6人は友人になる。

その後、学校に来なくなった翔だが、球技大会の日にひょっこり顔を見せる。

まったく変わった様子もない翔にほっとする菜穂だったが、学校を休んでいた本当の理由を知るのは、もう少し先のことだ。

引っ込み思案の菜穂は、すべての事柄に対して消極的でネガティブな思考の持ち主だが、この時は、手紙の指示にしたがってソフトボールの代打を引き受けてホームランを打つ。「臆病で弱い自分」に打ち勝ち、10年後まで後悔を残すまいとした菜穂の行動が、少しずつ彼女の心を変えていく。

そして、手紙にあった「この日、私は翔を好きになる」という一行も、現実のものになるのだった。

letter2 翔は10年後にいないという事実

菜穂は

「10年後の今、翔はここにいません。」

という手紙の一文を読み、手紙を机の引き出しにしまって学校に行った。

<菜穂の手紙〜4月23日>

  • 翔がサッカー部に入部する
  • 翔のお母さんがお弁当を作ってくれないというので、代わりに私が翔のお弁当を作って明日持っていくと言った。
  • でも私は翔にお弁当を作ってあげるのをやめてしまった。あの時、作ってあげれば良かったと後悔している。
  • ◎24日、翔にお弁当を作って渡して欲しい

と手紙には書かれていた。

菜穂が学校に行くと、現実世界もそれに呼応するように動いている。

翔は弁当を持ってきておらず、弘人に誘われて翔はサッカー部に見学へ行くことになる。

この時、菜穂は翔に初めて「菜穂」と名前で呼ばれて赤面する。

翔はサッカー部に仮入部することに。

菜穂が自分でお弁当を作っていることを知った翔は、冗談交じりに「ついでに俺にも作ってよ弁当」と笑う。

菜穂は「うん、いいよ」と応えるが、「いーよ、冗談だから!」と翔は言った。

翌日。

悩んだ末にお弁当は作って持っていった菜穂だったが、結局、お昼休みには渡せずじまい。

しかし、下校の時に翔と二人きりになる。

これは「手紙には書いていなかったこと」であり、菜穂は動揺する。

手紙には

  • 翔がかなしそうにしていたら、いつでも助けてあげてほしい。

と書いてあった。

菜穂は結果が分からないから怖いという理由で、手紙の通りに行動するのをためらっていた。

二人きりで会話をしているうちに、菜穂は、始業式の日に翔の母親が死んでいた事実を知る。

手紙には「始業式の日に翔を誘うな」と書いてあったにも関わらず、同じことを繰り返してしまった自分を反省した菜穂は、「翔を助ける」ために勇気を出してお弁当を差し出す。

翔は「本当は期待していた」とうれしそうにお弁当を受け取ってくれた。

菜穂は、毎日、翔に弁当を作ってくることと、毎朝モーニングコールをすることを約束した。

その夜、今朝途中で放り出した手紙の続きを読んだ菜穂は愕然とする。

手紙にはこう書いてあった。

翔は17歳の冬、事故で亡くなりました。

みんなや、私達との約束もすべて置いて。

私達が後悔しているのは、翔は救えたということ。

菜穂は手紙を読みながら、涙して誓う。

「救うよ 翔は 私が救う」

letter3 遅かったメッセージ

<菜穂の手紙〜5月1日>

  • 1週間の翔の仮入部が終わる
  • 翔はサッカー部には入らず、辞めてしまう
  • ◎翔は無理にでも部活に入れてあげてほしい。本当はサッカー部に入りたいと思っているから。

菜穂は、翔を絶対にサッカー部に入れてやると意気込むが、弘人が「翔が正式なサッカー部員になった」と当然、発表し面食らう。

菜穂は「未来が変わっている?」と思い始める。おそらく、弁当を作ったり、10年後の自分と違う行動をしていることで、未来が良い方向に変わったのだと考えていた。

ある日、翔と菜穂が歩いていると、三年生の女生徒・上田が翔に対して親しげに挨拶をしてきた。上田が翔に気があることを察した菜穂。

<菜穂の手紙〜5月2日>

  • 連休前で授業短縮。4時間授業
  • 上田先輩が休み時間に翔に告白する。
  • 翔は上田先輩とつきあうことになった。

最後の一文にショックを受ける菜穂だが「未来は変えられる。それはきっと簡単な事」と自分に言い聞かせる。

菜穂は、翔が上田とつきあうことに複雑な気持ちがありつつも、「でも翔が選んだ道なら、それは別に」と考え、それよりも「翔自身のこと」を心配していた。

そこへきて、翔と二人でいる時に翔から「菜穂って好きな人いるの?」と問われ、フリーズする。

とっさに「いない」と答え、さらに「翔は?いるの好きな人」と尋ねた。

翔の答えは「うーん、いないよ」だった。

翔はその日のうちに上田から告白され、答えを保留する。

菜穂の手紙には

  • 4次元目の授業の前、ペンケースを忘れたと言う翔にシャーペンと消しゴムを貸す
  • ◎授業が終わって、翔からシャーペンと消しゴムを返してもらったら、消しゴムのケースをはずして見てほしい
  • ◎自分の気持ちを正直に伝えること

と書かれていた。

菜穂は手紙の通りに文房具を貸すが、掃除に狩り出されたため、消しゴムを見るのは遅れてしまう。

消しゴムケースの中には翔のメモがはさまっていて。

「上田先輩とつきあっていいと思う?」

と書かれていた。

菜穂は「だめ」とメモを書いて翔の下駄箱に入れる。

これで未来は変えられると安堵するが、しかし、翔は上田に対して承諾の返事をしてしまう。

菜穂は、弘人に心配され、「翔のことが好きなんだろ?」と問われるが、逃げるようにその場を去る。

letter4 翔の気になる人

ゴールデンウィークが終わり、授業が再開する。

玄関で翔と会った菜穂は、彼女である上田に気を使って、モーニングコールもせず、お弁当も作らなかったことを告げる。翔はこれまでの例を言い、「無理言ってごめんね」と謝った。

菜穂、モーニングコールもお弁当づくりもすごく幸せだったことを伝えようと、翔の背中に呼びかける。しかし、上田がやって来て翔にべったりとくっつき、何も言えなくなった菜穂を置いて、二人は歩いて行く。

菜穂は「もう翔と話すのはやめよう。上田先輩に悪いから」と思う。

翔は上田と付き合うようになってから、菜穂たちのグループとは疎遠になってしまった。。

菜穂は、「どうして消しゴムの中をすぐに見なかったのか?」、「どうして自分の口でだめと伝えなかったのか?」と後悔する。

<菜穂の手紙〜5月17日>

  • 翔が上田先輩とつき合ってしまってから、翔と会話をすることがなくなってしまった
  • この日が最初だった。
    お昼休みに私は、翔に声をかけられたのに上田先輩の姿を見て、翔を避けてしまった。
  • この日から何度も翔を避けてしまう
  • ◎どうか翔が呼んだら、応えてあげてほしい。
    待っているだけじゃなく、自分から声をかけてあげてほしい。翔と話したいことはたくさんあるはず。

翔に話しかけたい菜穂だったが、翔の隣にはいつも上田がおり、一人でいる時でなければ無理だと考える。
菜穂には、どうしても翔に話しかける勇気がなかった。
翔に声をかけても振り返ってくれないという最悪の状況を想像し、臆病になる。

<菜穂の手紙〜5月21日>

  • 放課後、私が翔に「バイバイ」と言った事で、翔と上田先輩がケンカしてしまう。
  • でも私は先輩の目が気になって、何もできず家へ帰った。
  • あの頃、翔はずっと悩んでいたと後で知った。

放課後、バイバイと翔に声をかけられた菜穂は、手紙に背中を押され、勇気を振り絞って話かける。

そこへやって来た上田が、故意に菜穂にぶつかって、菜穂が廊下に倒れた。

「謝れ」と上田に激昂する翔。上田も「他のこと話しないでよ」と怒り始める。

しかし翔はそれを無視して、菜穂に手を差し伸べる。

上田は「翔のバカ」と捨て台詞を吐いて去っていった。

「やっぱりできない。私のせいで先輩が嫌な思いをするのなら、それで翔に迷惑があっかるなら、それなら私は翔と話せないままでいい」

その場から逃げ出した菜穂は、弘人に止められる。

「逃げんなよ菜穂」

それは手紙には書かれていないことだった。

翔は弘人に「菜穂と話がしたいけど上手く話しかけられない」と悩みを打ち明けていた。

「菜穂が逃げてたら、翔が話できないだろ」

自分の過ちに気付いた菜穂は、弘人に礼を言って、翔を探しに行く。

翔を見つけた菜穂は、お弁当を作ることは「すごく楽しくて幸せだった」と伝えた。

そして、声をかけてくれたのに応えられなかったことを詫びた。

菜穂は翔の話を聞く。

翔の悩みは「上田先輩と別れ」ようと思っていることだった。

顔で上田を選んだという翔だが、別れると決めた理由は「菜穂がだめって言った」からだという。

菜穂は、自分の想いが届いていたことに安堵する。

「俺、先輩より気になる人がいるから」

「それって好きな人?」

「内緒」

そう言って翔は、部活へと走っていった。

平行して描かれる10年後の未来

物語は、未来からの手紙を受け取った高校2年生の菜穂が生きる世界と、手紙が書かれたであろう10年後の未来の世界を平行して描いている。

菜穂は27歳になっており、弘人と結婚、子どもが一人いる。

高校を卒業して以来8年ぶりに、翔を除いた高校生時代のグループで集まり、それぞれプレゼントを持って翔のところに行くのだという。

それは、翔との約束を叶える旅であり、実現しなかった誕生日のお祝いをするための旅だった。

きっかけは弘人の「タイムカプセルを掘りに行こう」という言葉だった。

5人は、母校で2年生の時に埋めたタイムカプセルを掘り起こした。中には10年後の自分にあてた手紙が入っていた。

それぞれ、青春時代のたわいもない夢が書かれていたが、翔の手紙だけは違った。

菜穂や須和など、5人それぞれに対するメッセージと感謝の気持ちが書かれており、自分のことは一言も書かれていなかった。

「それぞれ自分の未来を書く」というテーマだったにも関わらず、それを書かなかったのは、邪推すれば、「自分には未来がないとわかっていたから」とも考えられる。

事実、翔は高校2年の時に交通事故で亡くなっている。

5人は、翔の死が「自殺」である可能性を否定することが出来なかった。

「もしも過去をやり直せたら、私は迷わず翔のところへ走って行く。今度は必ず、翔を救うから」

と菜穂は思った。

5人が訪れたのは松本市にある翔の祖母の家だった。

翔の葬式以来の訪問だったが、菜穂や弘人のことは翔からよく聞いていて、覚えているということだった。

菜穂の心の中は、改めて、翔を救えなかった過去に対する後悔でいっぱいになっていた。

orange<1巻>の分析と考察

主人公・菜穂の分析

引っ込み思案な、自分の行動に自身が持てない性格。いつの間にか雑用を押し付けられてしまう「無意識のうちに損をしている」タイプで、あれこれと悩んで、出口のない迷路に入り込んでしまうのは、実の母親の性格を引き継いでいるらしい。

失敗をすること、他人に不快な思いをさせる(と思い込むこと)を極端に恐れ、それが行動を妨げる原因になっている。

パンを一つ選ぶにも、ジュースを買ってきてもらうにも、遠慮し、人の顔色を伺わなければ、心が落ち着かない。

料理もできる、裁縫もできる、ソフトボールもできる万能の才女であるにも関わらず、そのスーパーネガティブな性格で損をしているタイプだ。

非常にマイナス思考でうちにこもりがちだが、「未来から来た手紙」と翔との出会いを堺に、ポジティブな一面も見せ始める。

菜穂に届いた手紙は誰が書き、どうやって投函されたのか?

菜穂に届いた手紙を見ると、しっかり切手も貼ってあるし、消印の判子も押してある。つまり、「現代において、正規の郵便ルートを通して、菜穂の家のポストに投函された」ということだ。決して、手紙だけ未来から転送されてきたわけではなさそうである。

手紙を書いたのが、本当に10年後の菜穂だったとすれば、何らかの手段でタイムスリップした菜穂が、最寄りの郵便局かポストに未来から持ってきた手紙を投函したというのが一番現実的な方法かも知れない。

現実的とは言ってみたものの、青いネコ型ロボットと知り合いでもない限り、一般人がタイムスリップするのは至難の業である。

並行して描かれる10年後の描写を見ても、それほど科学技術が発達しているという訳ではなさそうだ。おそらく、萩田の兄のワゴンもタイムマシンではないだろう。萩田の兄がドクで、あの車がデロリアンの新車というなら話は別だが。

母親の死というトラウマが翔に与える重圧

おそらく、翔と母親は母子家庭である。何らかの理由で離婚をしたからか、それとも病気などを抱えていたのかは分からないが、とにかく母親の生まれ故郷である長野の松本市へ親子で移住した。まだ、引っ越しも終わっていない状態で学校に登校した翔だったが、その日のうちに母親が自殺してしまう。自殺の理由はまだ明らかにされていないが、翔の受けたショックは計り知れない。

その後、2週間、翔は学校を休むことになるが、身辺と心の整理をつけるには、その程度の期間は必要だろう。

母親の死をトラウマとして抱えているという状況は、2015年春クールで放送された堺雅人主演「Dr.倫太郎」の主人公、日野倫太郎も同じである。

彼の場合は、中学生の時、うつ病気味で家事も満足にできない状態だった母親が出してくれたお茶を飲まず、「母さんもがんばって」と不用意な発言をしてしまったが故に、彼の母は電車に飛び込んで自ら命を断った。倫太郎は、そのトラウマを抱えながら、精神科医という職を続けている。

倫太郎同様、翔も母親の死に対して「自分のせいで死んだ。助けてあげられなかった」という責任を強く感じていることが考えられる。

母親の死は、自身も「自ら死を選んだ」かも知れない翔にとって、その「理由」になりえる大きなトラウマである。

菜穂が裁縫が得意で、お弁当も自分で作っているというエピソードで、翔が菜穂に対して「お母さんみたい」という言葉を使ったのは、潜在意識の中にまだ「死んだ母親」が強く影響を及ぼしているからだと推測できる。

Dr.倫太郎原案本

SFファンタジー×青春×ラブストーリー

本作は、「未来の自分から届いた手紙によって現実を変えようとする物語」という時点でSFファンタジーの部類に入るものだが、主人公は「この手紙はいったい何なんだ!」という部分にはほとんど触れず、手紙の内容は「とりあえず真実」として現実世界で生活をしていく。

比率で言えばSF:青春:ラブストーリーが1:4:5みたいなものだ。

この自分からの手紙という奴がまた「寸止め」でニクい。

どうせ過去は知っているのだから、必要事項は全部詳細に書いておけば良いのに、まるで「ヒント」だけ与えるかのように意味深な内容に終始している。だから、優柔不断な菜穂は、その度に手紙に振り回され苦労するのである。過去の自分を苦しめてうれしいのか、という話だ。

物語は、手紙の内容とリンクし、始業式から順番に描かれ、同時に10年後の未来で起こっている出来事も説明される。

そこで分かったのは、「翔がすでにこの世にいない」という事実である。

菜穂は、その事実を知った上で、手紙を頼りに翔を助けようと行動する。手紙はいわば予言の書であり、未来を変えられる可能性(過去を変える可能性)を秘めていると考えられる。

青春とはかくも複雑なものなのか!?

小生の暗黒の高校時代など20年も前の話なので、すっかり忘れた。もはや過去の自分に手紙を書くことすらできない。書けるとしたら「部活の後のからあげくんは控えめに」ということくらいだろうか。

やはり青春ラブストーリーとして見た場合、気になるのは、菜穂と翔と弘人の三角関係である。

菜穂は弘人と長いつきあいであるにも関わらず、翔がやってくるなりキュンキュンときめいてしまった。もはや、弘人にはこの時点で脈なしである。だからといって簡単に引き下がるのは男ではないと言いたいところだが、そこで引き下がるどころか、二人の恋を応援してしまうのが「イイ人・弘人」である。

何かにつけて、くじけそうな菜穂をはげまして翔のところに行かせ、翔の悩みを聞きつつ、二人をフォローする。好いた女を東京からやってきたイケメンにかっさらわれた直後とは思えない聖人君子ぶりに「今の草食男子はこうなのか?」とカルチャーショックを受けてしまう。

弘人が苦労するのも、菜穂と翔がはっきりしないからだ。

読者投票をしたら「嫌いなキャラ1位」になりそうな上田先輩と勢いで付き合ってみたり(母親の死で自暴自棄に?)、「やっぱり菜穂が好き!」とすぐに別れてみたり。精神が不安定なのは分かるが、あまりにもふらふらし過ぎである。

そもそも、菜穂は途中から翔の弁当を毎日作るようになっているのだ。あの狭い学校内で、それが噂として広まらないワケがない。

毎日男子生徒に弁当を作ってくる女子生徒がいるとしたら、それは「商売」か「付き合っている」のどちらかしかないだろう。

菜穂は翔のことが好きなのだから、「自分のことも好きになって欲しい」と考えて当然であるし、「好きになってもらおう」とするはずである。

それなのーに、二人きりでいる時に面と向かって「先輩より気になる人いるから」と言われて、「あら、あたしかしらん?」と露にも思わない女子がどこにいるのか?

菜穂は相当な鈍感女か、それともド天然かのどちらかだと考えられる。

漫画「orange」2巻の考察はこちら

漫画「orange(オレンジ)」<2巻>感想ネタバレ考察★未来からの手紙が届いたのは菜穂だけではなかった?

タイトル「orange」の意味は?

本作の「orange」というタイトルには、どんな意味が込められているのか?

1巻を読んだところでは、何かのモチーフとしてのオレンジは出てこないし、もちろん松本はオレンジの産地ではない。

「オレンジ」という名前の物語で思いつくのは、妻夫木聡、柴咲コウ主演のドラマ「オレンジデイズ 」や

SMAPの隠れた名曲「オレンジ」が思い当たる。

特にオレンジの歌詞は、恋人同士の別れの歌として、菜穂と翔の運命を象徴しているというようにも聴くことができなくもなくもない。かな?

オレンジの歌詞はこちら

※「オレンジ」はシングル「らいおんハート」のカップリング曲

未来と過去がごっちゃ混ぜ。パラレルワールドもの

「orange」は、未来と過去という二つの別々の世界が存在する「パラレルワールドもの」である。

物語によって、未来と過去がそれぞれ影響を及ぼしたり、及ぼせなかったりするが、総じて、物語が進むに連れて我々読者の頭は混乱してくる。

「orange」の場合は、SF要素が薄いので、問題にはならないが、「翔を救える、救えない」というストーリー展開になった場合、その部分が大きく関わってくる。

パラレルワールドを扱った作品を紹介。

きみにしか聞こえない 乙一

頭の中に携帯電話を持った少女と青年の時空を超えた恋と悲劇。

僕だけがいない街 三部けい

事件に巻き込まれるとタイムスリップしてしまう青年に降りかかった「過去の誘拐事件」と「現実の殺人事件」の顛末。

パラレルワールド・ラブストーリー 東野圭吾

少し毛色の違うパラレルワールドもの。親友の恋人を手に入れるために、自分は何をしてしまったのか?記憶を巡る物語。

漫画「orange」2巻の考察はこちら

 

ひっぱりゲーの次にくるのは・・!話題のゲーム最新ランキングTOP10

神紅堂書店の漫画分析レビュー

【完結】マンガ「ミュージアム」3巻感想・ネタバレ 沢村VSカエル男最終章!最後に生き残ったのは誰?噂のラストシーン真意は?

戦慄のバイオホラー!筒井哲也の漫画「マンホール」<上巻>ネタバレ1〜3話 映画化された「予告犯」作者による現代に巣食う恐怖 

漫画「僕だけがいない街」感想・ネタバレ【1〜8巻】時空を超えた青年は、忘れられた連続誘拐殺人事件に挑む

マンガ「HIDEOUT(ハイドアウト)」感想・ネタバレ。恐怖の「洞窟サイコホラー」

Facebook・Twitterで更新情報発信中です!


アドセンス大

アドセンス大

アドセンス関連記事

アマゾン



-コンテンツ, 本と映像, 漫画
-, , , ,

Copyright© 神紅堂書店 , 2017 All Rights Reserved Powered by AFFINGER4.