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真犯人・黒川宏は誘拐事件被害者の祖父漫画「マンホール」<下巻>ネタバレ21〜23話

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マンホール 下巻

マンホール<下巻>第21話「脅迫」

溝口と井上は、田村のアパートで燃やされたFAX用紙を発見。FAXの内部に残された送信記録から、「私はお前の過去を知っている」というメッセージと共に「施設」の住所が書かれた脅迫状が見つかった。

FAXが送信されたコンビニで確認すると、サングラスをかけた60代くらいの男がFAXを使っていたことが判明する。しかし「写真家の水野」とは別人であると証言した。

捜査本部により、水野は二ヶ月前からアラスカに撮影旅行に出ていることが確認され、捜査は混乱する。真犯人は、写真家の水野を名乗った完全なる別人だった。

その後の捜査会議で「施設」にあった脳波計が北海道にある生物研究所の引き払い品であることが分かるが、他にめぼしいてがかりはあがってこない。

井上が水野の著作である「ボツワナ紀行」がネットん専売のオンデマンド出版であることに気づき、出版社に問い合わせるも個人情報保護法をたてに購入者リストの提供は拒否される。

しかし、ひょんなところから「警察御用達の凄腕ハッカー」にたどりつく。

21話考察

田村は、過去の事件をネタに脅迫され「施設」へと送り込まれたこと、写真家の水野はまったく事件とは関係のない人物だったこと、この2点が判明したが、捜査は行き詰まる。

井上が目をつけた「ボツワナ紀行」は犯人とって重要なバイブルのようなもの。小部数しか発行されていないオンデマンド出版であれば、購入者はかなり絞られるだろう。

この現代社会において、正しい情報には高い価値がある。多くの情報がコンピューターやインターネットによって管理・保存されている現状では、最も世界の真実に近いのはハッカーやクラッカーと呼ばれる人種かもしれない。それを考慮すれば、警視庁と協力関係にあるハッカーが 絶対にいないとも言い切れないだろう。

気になるのは、溝口が「空腹を感じない」と言っていること。

たしかフィラリアによって脳の視床下部に損傷をうけた場合の現象には「食欲の減退」も入っていたと思ったが・・・

マンホール<下巻>第22話「協力者」

ハッカーの喜多嶋によってもたらされた「ボツワナ紀行」の購入者情報から、一人の重要参考人が浮上する。名前は「黒川宏」。彼は田村による少女誘拐事件で連れ去られた被害者の祖父であり、問題のビデオテープを受け取った張本人だった。

捜査本部により、黒川の素性が明らかになる。

黒川宏、60歳。北海道出身で現在は無職。元生物研究所の研究員だった。

2年前までエキノコックスという寄生虫による感染症の研究を行っていた。つまり、黒川は寄生虫研究のスペシャリストだった。

この研究所では、2年前に1億円の使途不明金が発覚しており、黒川はその直後に退職している。その後、アフリカのヨハネスブルクに渡り、今年の9月に帰国していた。

また、マンホール地下の「施設」で発見された脳波計は、黒川が勤務していた施設にあったものだとわかった。

黒川は帰国後、笹原市の人生相談室で電話相談の仕事をしていた。その際、堀川義人の母親であるトシ江と応対していたという記録が見つかっている。

捜査本部は、黒川が田村への復讐を行うためにフィラリアを入手、堀川で実験を行ってから犯行に及んだとにらみ、復讐は成功したので、今後のフィラリア感染拡大の可能性はないと断定。黒川を全国指名手配した。

22話考察

ボツワナ紀行の購入者を特定できたことで捜査は大きく進展する。「田村事件」の被害者の祖父である黒川宏の名前がリストから発見され、彼の身辺調査を行った結果、容疑者として指名手配されることになった。しかし、黒川の復讐は終わったとする捜査本部の見解には意義を唱えたい。

溝口は、この事件の犯人である黒川を評して、「強い覚悟」と「高い知能」と「行動力」をもつ「思想犯」であると語っている。それはつまり、彼が「田村への復讐」という感情的かつ短絡的な動機で一連の犯行を計画・実行したのではない、するような人間ではないという分析である。

黒川自身も、田村への復讐を終えた後に「次の計画を始めよう」と語っている。彼の計画とはおそらく、新種のフィラリアを何らかの方法で広範囲に蔓延させることだろう。それが「世界の浄化」につながると彼は確信している。

彼の計画が動き出してしまえば、黒川一人を逮捕してもあとの祭りという最悪の事態も想定される。

マンホール<下巻>第23話「それでもあなたは間違っている」

黒川宏が容疑者として浮上した夜、笹原署刑事の滝本は、一人調査報告書をまとめていた。

黒川は、真面目で寡黙、職人気質の研究員。プライベートでは孫娘を溺愛する好々爺だった。

田村によって孫娘が事件に巻き込まれた後、大きな心の傷を追った孫娘を北海道にひきとり、妻と共に献身的な介護を続けてきた。そこに田村からのビデオテープが送られ、彼はそれを観てしまう。

黒川は、その残酷な記録のすべてを目に焼き付けた。少女がどのような苦痛を味合わされたのかを切実に知りたかった。

その日から彼は書斎に引きこもって、脳に作用する寄生虫の文献を読み漁り、ついには「ボツワナ紀行」にたどりつく。

研究費を着服し、研究者としての地位と名誉、老後のおだやかな生活をかなぐり捨てて、彼はボツワナへと旅立つ。その地で片目と脳の一部を失いながらも、彼の「復讐への意思」は消え去らなかった。

黒川宏を犯行に駆り立てたものは、すさまじいまでの悲壮な覚悟だった。

黒川は帰国後、電話人生相談の相談員となり、「実験体」としての堀川に目をつけた。

滝本は報告書を書きながら、いつの間にか泣いていた。

それは怒りか悲しみか、あるいは黒川に対する同情だったのか。彼自身もよくわからなかった。

滝本は黒川に「それでもあなたは間違っている」と伝えられるかどうか自問していた。

一方、溝口と井上は、コンビニ店員からの聴取で作ったモンタージュを元に、黒川が使ったタクシー会社を特定。運転手から、「新しい計画を始める」と黒川がつぶやいていた事実を突き止める。

23話考察

田村の卑劣な行為によって、一人の少女、そしてその祖父の人生が狂わされてしまった。

黒川にとって、「田村への復讐」は通過点でしかなく、彼の強すぎる覚悟は、より壮大な「悪」に向かってその怒りの鉾を突き立てようとしていた。

おそらくベテラン捜査員の滝本も、黒川と同じくらいの年齢だろう。彼にももしかしたら、小さな孫娘がいるのかも知れない。

滝本は思ったはずだ「自分が黒川の立場に立たされたら、どうするだろうか?」と。

彼は警察官である。世の中の悪に対して、正当な方法で罪を償わせるための手続きとして、悪人を「逮捕」することができる。しかし、彼が黒川と同じ状況に立たされた時、「私怨による復讐」を思いとどまり、「逮捕」することが果たしてできるだろうか?

滝本自身も、もちろん答えは出せなかったはずだ。黒川への同情ももちろんあるだろう。だが、警察官として一人の人間として、罪もない人々も巻き込んだテロリズムに身を沈める黒川に対し「それでもあなたは間違っている」と断固として言い切ることをしなければならない。

頭では分かっているが、それを実現するのは、非常に難しいことだ。

 

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