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マンガ「コウノドリ」感想ネタバレ 出産は経験しなければ分からない人生のブラックボックス

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目次

漫画「コウノドリ」の感想ネタバレレビュー

病院の産婦人科を舞台に、「出産」とそれにまつわる悲喜こもごもをテーマにした異色の医療マンガ「コウノドリ」1巻の感想ネタバレレビュー。2015年秋には綾野剛主演でドラマ化される本作の1巻でピックアップするテーマは「受け入れ拒否」「切迫流産」「性病」である。

両親に捨てられ孤児院で育った鴻鳥サクラは、「ベイビー」という名前で活躍する天才ジャズピアニストという裏の顔を持つ産婦人科のドクター。日々、来院する妊婦たちの様々な問題に直面しながら、出産という「奇跡」の中にある残酷な現実と向き合っている。

2015年秋にドラマ化される「コウノドリ」では、鴻鳥サクラを俳優の綾野剛が演じる。

ピックアップエピソード「切迫流産」

1巻のチャプター2「切迫流産」は、10年間子供を望み続けてついに妊娠したにも関わらず、21週で切迫流産の危機に直面する田中夫妻のエピソードが語られる。

切迫流産とは?

切迫流産とは、妊娠22週未満で出血や痛みの症状を伴い流産しかかっている危険な状態をいいます。 ちなみに、妊娠22~37週未満で同じ症状が見られる場合、「切迫早産」と呼ばれ、名前の通り早産しかかっている状態です。

参照:切迫流産について|こだからひろば

名前からして非常に危険な状態であることは想像できるが、知り合いのママさんの話を聞いているとそれほど珍しいケースではないことが分かり、ぞっとする。

切迫流産になると、まったく動く事すら許されない「完全安静状態」が求められることもあるので、母子ともに過酷な状況であることは間違いないだろう。

田中夫妻は、前日の検診では問題なかったが、翌日、お腹の張りを感じ、そのまま高位破水を起こしてしまう。

完全破水ではないので、赤ちゃんが助かる見込みはあるが、今、出産してしまったら間違いなく流産という状況。

妊婦は緊急入院し、ベッドの上で完全安静。

そして、まずは妊娠24週、体重500gを目標に定めることになる。

そこまで行くと、赤ちゃんの救命率は50%。

しかし、その時点で出産すれば、赤ちゃんは多くの合併症を併発してしまう可能性があることを知らされる。

視覚障害、呼吸不全、脳性麻痺。

それらの踏まえてサクラは、田中夫婦に決断を迫る。

「赤ちゃんを助けるか、助けないか」

出産はさ、結果だから

田中夫妻は結局、24週に満たない時点で分娩が回避できない状態になり、帝王切開をするかどうかという決断を余儀なくされる。

母体を優先するか、赤ちゃんの命を助けるかというギリギリの綱渡りの中で、田中夫妻は「産む事」を選択する。

サクラの「出産はさ、結果だから」という言葉が非常に重い。

タイムリミットがある中で「命の選択」をしなければならない状況であれども、必ず進むべき道を決めなければならない。

決めるのは、妊婦であり、父親になるはずの夫であり、時には産婦人科医であるだろう。

その「結果」として上手く行く、つまり子供は健康に産まれ落ち、妊婦も健康体のまま出産を終える。

それこそが最高のハッピーエンドだが、そうならない場合も多々あるはずだ。

2つのピースのうち、どちらかでも失えば、結果=失敗であり、その選択と選択をした者は容赦ない非難の波にさらされるだろう。

「結果が良かったか、悪かったか」

それによって、誰かの判断が「正しかったか、間違っていたか」が判断される。

医師にとっても、親になる者にとっても、厳しい現実がそこにある。

出産は経験しなければ分からない人生のブラックボックス

我が家には8ヶ月になる息子がいて、当然、我々夫婦は出産という人生の一大イベントを経験した。

小生は男なので、子供を自分の身体で育て、産み落とした訳ではないが、妊娠判定から出産に至るまで、すべての過程において妻に寄り添い、出産をこの身で体験したという自負がある。

出産の当日は、朝から晩まで陣痛で苦しむ妻の手を握り、分娩室では、この世に生を受けた息子と妻をつないでいた命の鎖=へその緒を自らの手で切り落とした。

その新米パパである小生が思うのは、出産という事象は、「実際に経験してみなければ、絶対に分からない人生のブラックボックスである」ということだ。

マンガやドラマで描かれるのは、結局は、他人事でしかない。

自分たちの人生の中で、出産を経験することによって初めて、「出産とは何か」を理解するスタートラインに立てるのだと、小生は思っている。

ただ、マンガやドラマといった親しみやすいメディアで、多少なりとも「ブラックボックスの中身」に光を当てることが出来るのなら、これから出産を迎える人、すでに出産を終えた人、いつかの出産を夢見る人にとって、貴重な疑似体験の場となることは間違いないだろう。

 

マンガ「コウノドリ」<2巻>感想ネタバレ  我が子は無脳症で生存可能性ゼロ。その時下した決断は?

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病院の産婦人科を舞台に、「出産」とそれにまつわる悲喜こもごもをテーマにした異色の医療マンガ「コウノドリ」2巻の感想ネタバレレビュー。ドラマでは星野源演じる四ノ宮医師が登場。彼が笑わない理由とは?2巻でピックアップするテーマは「未成年妊娠」「無脳症」「被膜児」「喫煙妊娠」の4つ。

ピックアップテーマは「無脳症」

産科医・鴻鳥サクラは、ある妊婦の出産に立ち会っていた。

川村夫妻は、2年前、妊娠中の胎児が「無脳症」と診断された。

無脳症とは?

無脳症とは 神経学的奇形症の一種。 神経管欠損症や、頭蓋骨の欠損を含めて無頭蓋症(むとうがいしょう)ともいいます。 神経系の基になる神経管から脳や脊髄が形成されず、脳の一部、または大部分が欠損した状態で、小さく萎縮している場合もあります。

参照:赤ちゃんようこそ.com

正式名称は「大脳皮質形成不全症」。

サクラ曰く「助けられる方法がない」症状である。

彼も、それをエコーでそれを発見したときには思わず絶句し、妊婦に真実を伝えるために気持ちを切り替えなければならないほどだった。それほど無脳症は、赤ちゃんにとって絶望的な状況であるということだろう。

その事実を知り呆然とし、泣き崩れた妊婦に医師たちは、人工妊娠中絶をすすめる。

妊娠を継続することで、母体は大きなリスクを背負う。

妊娠・出産は赤ちゃんを無事に産み落とすための行為であり、胎児が生き延びられる確率がほぼ皆無な川村夫妻にとって、出産の継続は「リスクでしかない」状態だった。

それが「結果を重視」する「医師側の意見」である。

しかしサクラは告げる。

妊娠の継続か中止を最終的に決断するのは「赤ちゃんの両親であるお二人」であると。

川村夫妻は返事を1週間先延ばしし、検討することにした。

無脳症児に対して産科医は、あまりにも「無力」だった。

赤ちゃんは無事に育ち、生まれるもの。だという誤解

小生も含めて、幸運なことに子供を授かった者は、盲目のうちに「この子は無事、元気に生まれてくる」と信じている部分があるが、実際はそうとは限らない。

早産や流産はもちろん、様々な障害を持っていたり、川村夫妻のように無脳症で生存は絶望という診断を下される可能性だって十分にあるのだ。

もちろん、「我が子は無事に生まれてこないかも知れない」と初めから心の準備をしている親などいるはずがない。

その非常な宣告はある日突然、嵐のように幸せな夫婦に襲いかかっては、すべてをぶち壊してしまうのである。

小生も、毎回の検診の時には、「今日も我が子は大丈夫だろうか」と多少なりとも緊張していた記憶がある(小生は、ほぼすべての検診で妻に同行した)。

「おめでとう」のない悲しい出産。その選択に「正しい」はあるのか?

悩む川村夫妻。

妻は、ワラをも掴む思い出無脳症児を助ける方法をインターネットで検索するが、そこには「治療法は存在しない」という悲しい事実が存在するのみ。

夫は、一人、サクラを訪ねる。

夫は「赤ちゃんが100%助からない」と聞いて、「妻の方から諦めると言って欲しかった」と告白する。

赤ちゃんの胎動を感じ始めて喜んでいる妻に堕ろせとは言いにくかったという。

「ずるいですよね」と本人が自虐的に語るように、それは確かに「自ら決断することを逃れ、妻に委ねる行為」である。「君がそう言うなら、そうしよう」と言うのは、簡単であり、幾分か気楽だ。

まだ見ぬ我が子より、妻の方が大事。

サクラは、その夫の想いを自分ではなく、妻に伝えてあげるようにアドバイスする。

夫は、妻に「子供を諦めよう」と提案。

「産んで欲しくない」と強く主張した夫は、「生きられないその赤ちゃんより、お前の方がずっと大切なんだよ」と説得する。

 

赤ちゃんを諦めるという決断をした川村夫妻。

妻はサクラに「これで本当に良かったんですよね」と問う。

サクラは、「はい、僕はそう思っています」と答えた。

 

川村夫妻はその1年後、再び赤ちゃんを授かり、無事に元気な女の子を出産した。

 

「絶対に正しい答え」は存在しない

妻の問いに対するサクラの答えは「はい、僕はそう思っています」というもの。

サクラにとっては、この場合「赤ちゃんを諦めること」が正しい答えだったということだ。

これはもちろん、人によって異なる。

当然諦めるべきだという人もいれば、どんな事情があろうとも赤ちゃんを「殺す」ことは許さないと考える人もいるだろう。

しかし唯一、「一応の正解」として答えを下すことができるのは、その子の両親だ。

両親は、その二人の考えにのっとって、お腹の中にある命の行方を決めることが許される。

それが「人の親になる」ということの権利であり、義務であり、責任だろう。

陣痛促進剤を使い、分娩台の上で、通常のお産と同じように「生きられない我が子」を産み落とす。

亡くなった我が子を前に、「私は、一生悔しい」と泣いた彼女の気持ちを真に理解することは、同じ体験をした人にしかできないだろう。

「無脳症」のエピソードはコウノドリ(2)に掲載されています

 

 

漫画「コウノドリ」<3巻>感想ネタバレ  助産院で産むという選択と小松の過去。人それぞれ出産のカタチ

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病院の産婦人科を舞台に、「出産」とそれにまつわる悲喜こもごもをテーマにした異色の医療マンガ「コウノドリ」3巻の感想ネタバレレビュー。3巻で取り上げるテーマは「喫煙妊娠」「海外出産」「自然出産と帝王切開」「救急救命(前編)」の4つ。

ピックアップテーマは「助産院での出産」

「自然出産と帝王切開」のエピソードでは、産婦人科病院と助産院の関係性、そして人それぞれが望む「出産の理想と現実」について語られる。

産科医・鴻鳥サクラが担当する妊婦の森さんは、自然派志向が強い。

助産院での自然分娩を強く希望していて、そのために毎日5kmのウォーキング、食生活の管理をして、適切な体重維持に務めている。

彼女は、帝王切開や陣痛促進剤に過度の拒否反応があり、「絶対に自分の力で産む」と宣言している。

川村夫妻は、2年前、妊娠中の胎児が「無脳症」と診断された。

助産院とは?

妊娠期から産褥期まで、助産師が継続的に健診やアドバイスを行ない、女性とその家族が安心して赤ちゃんを産み育てるサポートをする施設。お産も取り扱いますが、可能なのは「妊婦さんにもともとの病気がない」「妊娠経過に大きなトラブルがない」「赤ちゃんの姿勢が正常位(=骨盤位でない)」に限られています。

参照:コトバンク

助産院で出産をするメリットとしては、

  • 自分の思い描く理想の出産を実現できる
  • 一人の助産師に最初から最後までケアをしてもらえる
  • 帝王切開や陣痛促進剤などに頼らない自然な分娩

等があると考えられるが、もちろんデメリットもある。

そのうち最も大きなデメリットが「助産院では医療行為はできない」ということだろう。

そのため、出産に関するトラブルが少しでもあれば、提携する病院での医療行為が必要となり、

結果的には母体やお腹の赤ちゃんを危険にさらしてしまうというリスクもある。

助産院の理想と現実

サクラの同僚である助産師の小松は、実家が助産院だった。

小松は、反抗期に暴走族と付き合うなどグレていた時期があったが、母親の「助産師」という仕事を通じて命の尊さを知り、自らも助産師の道へと進んだ経験があった。

そのため「助産院を悪く言われると腹が立つ」のだ。

 

サクラの勤務する病院と提携する「ののむら助産院」院長は、自然分娩を望む森夫妻のバースプランを元にお産の計画を立てていた。

バースプランに基づき、「できるだけ良いお産」にすることを約束すると同時に、こう忠告する。

「助産院はサービス業です。医療行為は行えない。お産が順調でなくなった時には私達では適切な処理ができなくなる。」

「一つだけ約束して欲しいことは、私が医療の介入が必要だと判断した時には、すぐに提携先の聖ペルソナ総合医療センターさんに協力してもらうということなの」

納得できない様子の森さん(妻)だったが、院長は「お産にぜったいはない」と言い切る。

逆に森さん(夫)は、院長の言葉を聞いて、安心したという。

すぐに医療機関に協力を仰げる関係があるということは、助産院利用者にとって、大きなセーフティーネットであることは間違いないだろう。

助産師にとって重要なのは「臆病であること」

森さんは、助産院で出産に臨んだが後方後頭位でお産が進まず、院長の判断でベルソナ総合医療センターに運ばれた。

帝王切開が最善の方法と説明するサクラに「ぜったい嫌です」と言う妊婦。

野々村院長は彼女の枕元に立ち、実は「私も帝王切開で赤ちゃんを産んだのよ。二回も」とまさかの告白をする。

 

小松は野々村院長に「助産院をやっていて怖くないですか」と問う。

「お産は怖い?」と返された小松は、怖いですと答える。

野々村院長は、「あなたはきっと優秀な助産師なんでしょうね」と笑った。

野々村院長は、事故なく40年間助産院を続けられた要因を「自分が臆病だったから」と分析した。

理想の出産を求めてやってくる妊婦。

絶対に安全とは言えないお産を医療行為のできない助産院が行うことの責任と怖さを、彼女たちは知っている。

お産は「一度の失敗も許されない」と言う野々村院長の言葉は至極当たり前のことだ。

数多くの出産に立ち会う助産師にとっては、数百分の1であるその出産は、妊婦や父親、赤ちゃん、その家族にとってはかけがえのない「唯一無二の出産」である。

一つの失敗が、一つの死が、一つの家族の人生を大きく狂わせる可能性がある出産というベッグイベントに関わる助産師の覚悟と恐怖心は、我々の想像を絶するものだと考えられる。

実際に見る助産院の姿

小生は、仕事の関係で最近、とある助産院に出入りしている。

その助産院は、古い住宅街の中ほどにあり、雑木林に囲まれた大きな平屋の一軒家だ。

中は、そのまんま、大家族が暮らしているような家そのもの。

しかし、普通の家と違うのは、常に赤ちゃんの泣き声が聞こえ、エプロンをつけた助産師さんたちが忙しそうに仕事をしているということだ。

彼女たちには、凛とした強さを感じる。

多少のことでは動じそうにない芯の強さとたくましさ。

常に「生と死」の現場で本気の仕事をしている彼女たちに、出来ないことはないように思えてくる。

それでもきっとお産は「怖い」のだろう。

マンガに出てきた野々村院長は、「助産師にとって、臆病さは武器だ」と言った。

ちょっとの変化、兆候も見逃さない臆病さ。

少しでも母子に対するリスクがあると感じたら提携病院に連れていける臆病さ。

その「臆病さ」をきっと彼女たちは持ち続けているのだ。

「自然出産と帝王切開」のエピソードはコウノドリ3巻に掲載されています

 

漫画「コウノドリ」<6巻>感想ネタバレ  口唇口蓋裂のわが子を「愛せる自信」はあるか?

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病院の産婦人科を舞台に、「出産」とそれにまつわる悲喜こもごもをテーマにした異色の医療マンガ「コウノドリ」6巻の感想ネタバレレビュー。6巻で取り上げるテーマは「口唇口蓋裂」。生まれつき上唇が裂けている障害を持っていることが分かってしまった妊婦と家族の苦悩を描く。

ピックアップテーマは「口唇口蓋裂」

妊婦の土屋マキは、担当医の四宮からお腹の赤ちゃんが「口唇口蓋裂」であると告げられる。

口唇口蓋裂とは、通常、器官形成期にくっつくはずの上唇部分が結合せず、離れた状態のままになってしまう症状。

容姿の面、そして授乳や咀嚼面で障害となるため、時期を見ながら継続的な治療と手術が必用になる。

長い人だと、その治療期間は20歳にまで及ぶ事もあるという。

四宮は、「口唇口蓋裂は手術で治る疾患であり、命の危険はない」とマキに説明するが、彼女は困惑したまま席を立った。

待合室で、口唇口蓋裂の写真を見たマキは絶句する。

 

夫のマサカズを呼び、口唇口蓋裂の件を説明するマキ。

だが、「どうしたら良い?」という問いにも「わからない」と答えるしかないほど混乱していた。

パニックになっている妻とお腹の赤ちゃんを心配し、マサカズは妻を連れて、再び病院に戻ることにした。

四宮への不信感

夫婦は、病院に戻り、四宮にもう一度詳しく説明してくれるよう頼む。

しかし、四宮は「今からできることは何もありません」と冷たくあしらう。

結局、四宮の後をサクラが引き取り、二人に説明を行った。

 

マキは妊娠判明前に酒や薬を飲んでしまったことや、葉酸の摂取不足が口唇口蓋裂の原因かと嘆いたが、

サクラはそれを否定する。

口唇口蓋裂の本当の原因は分かっておらず、

「誰に起こっても不思議ではない」と自分を責めるマキを諭す。

 

口唇裂は、だいたい生後3ヶ月頃から手術を

口蓋裂は生後1歳半を過ぎて手術をするのが一般的。

  • 母乳を吸う力が弱いので上あごに合わせたプレートを作る
  • 口唇口蓋裂用の乳首を哺乳瓶につける

といった授乳のサポートが必用になる。

その後は、食べ物を噛む飲む、言葉や発生、歯並びに関するサポートも必用になる。

治療は主に形成外科や口腔外科で行い、治療方法や時期は異なるが、20歳近くまで長期にわたる可能性もある。

しかしサクラは断言する。

「口唇口蓋裂は、必ず治ります」と。

 

医師が治療に関して「必ずや絶対」ということは禁句であると思われるが、

サクラは口唇口蓋裂について「絶対に治る」と断言した。

これは、医学会全般でそういう認識がされているのか、それとも夫妻を安心させる為にサクラが禁忌を破って発言したものかどうかは分からないが、

少なくとも四宮に冷たい対応をとられた後では、サクラが仏に見えたことだろう。

「異常がなくて当然」が当たり前という現実

小生自身もそうだが、当然、妊娠中はお腹の赤ちゃんの成長がうまく進んでいるか心配でしかたがない反面、

「産まれて来る子どもは五体満足で健康そのもの」であると暗黙のうちに信じて疑わない。

その状態で、いざ障害や異常があると言われた時には、それはパニックになるだろう。

親にとっては、まさにゼロか100。問題が「ない」か「ある」かが重要で、

それが重い障害なのか、「手術で必ず治る」口唇口蓋裂なのかは、あまり重要でないのかも知れない。

親は自分子どもを愛せない訳がない

土屋夫妻は、妻の実家を訪ね、マキの両親に産まれて来る子どもが口唇口蓋裂であることを伝える。

「なんでそんなことになったのか?」と戸惑う両親。

「もうしょうがねえだろうが」という父の言葉にマキは、

「もうしょうがないから、赤ちゃん産めってこと?」と反発する。

 

「産まれたらどうなるんだろうとか、みんなにどんな風に見られるのかなって」

「もう産むしかないんだなって思って、そんな風に思っている自分がちゃんとこの子のこと愛せるのかな?」

「本当は私だって怖いんだよお父さん」

とつらい心情を吐露するマキ。

 

そこへやってきたマキの祖母。

口唇口蓋裂の赤ちゃんの顔が映った4Dエコー写真を見て一言、

「かわいいねえ」

とつぶやいた。

 

父親は、「親が自分の子どもを愛せない訳ねえだろ、バカヤロー」と笑った。

そして「マサカズくん、マキのことを頼む。ささえてやってください」と頭を垂れた。

つぼみの突然の死に四宮は

そんな中、四宮が6年間成長を見守りつづけたつぼみが、突然死してしまう。

あっけない最期に何もできなかった四宮。

そして、5年ぶりに、つぼみの父親と再会する。

「5年は長い」

四宮は自分とつぼみに5年間を振り返り、「毎日会いに行って話しかけた」のはつぼみのためではなく、「自分のためだ。ただの自己満足」と述べる。

そして、

「1日でも良かったんだ。治してあげたかった」と泣いた。

 

四宮を変えてしまった事件が、一つの終幕を迎えた。

つぼみは亡くなり、四宮の胸には、消えない後悔と虚無感のみが残る。

泣きはらす四宮に、サクラがかける言葉があるはずがない。

マキの忠告、四宮の笑顔

お腹の子どもを産み、育て、そして愛する決意を固めた土屋マキは、

ある日病院ですれ違った四宮に話かける。

「私は四宮先生が嫌いです」と切り出したマキ。

「3つだけ先生に言いたいことがあります。

1.口腔外科の先生を紹介してくれたことに対する感謝

2.赤ちゃんをちゃんと産んで、絶対に治してあげるという決意

3.妊婦にはもっと優しくしてください。

 

3つ目の言いたい事を耳にした四宮hが、

「アハっ」と声を出して笑った。

 

自分の息子が口唇口蓋裂の障害を持っていたら、今の様に何のわだかまりもなく愛せてあげられたのか。

そう自問しても、やはり答えは出ない。

出来るだけ物語に登場した土屋夫妻の立場に心を近づけようと試みても、

明確な答えは出せなかった。

それは「愛せるという絶対的な自信がない」ということの裏返しなのかも知れない。

表向きは、当然「治療をして絶対に治してあげよう」と意気込むだろうが、

内実は「どうして俺たちがこんな目に」と思ってしまうかもしれない。

それが人間の心の弱さ、小生自身の未熟さでもある。

 

医学や技術の進歩、社会状況の変化と共に、お産に関わる状況も昔とはかなり変わって来ているようですね。

今やなんと、自宅で人口受精ができる時代だそうです。

【妊活・不妊】自宅で簡単に人工授精ができる「シリンジ法」キットの登場に驚き。

 

★余談ですが、うちの妻は妊娠中から服を買うならここと決めているそうです
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