【小説】僕だけがいない街アナザーレコード 八代学「蜘蛛の糸」と「スパイス」の意味

僕だけがいない街 Another Record

ついに完結した漫画「僕だけがいない街」において、八代学逮捕後の世界を描いたスピオンオフ小説。悟の友人ケンヤは弁護士として、八代の弁護を担当することになる。そこで見えた「蜘蛛の糸」、「スパイス」の意味とは。

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殺人鬼・八代学の真実

一審判決で死刑を言い渡された八代学だったが、廃バスの中から見つかった自身の手記によって、一転、精神鑑定から無罪判決となってしまう。

無罪を勝ち取った弁護士を解任した八代、国選弁護人として選ばれたのは、悟の友人であり、事件の関係者でもあるケンヤだった。

ケンヤは、かつて憧れた恩師であり、親友を死の淵まで追い詰めた殺人鬼でもある男を前に、何を為すべきか悩み苦しむ。

彼は、八代の手記を読み解くことで、彼に近づこうと努力した。

その結果、「依頼人に利益」を考え、最高裁で逆転死刑の判決を得るのであった。

八代学における「蜘蛛の糸」の意味

八代学が殺人のターゲットとなる人間の頭に見た、蜘蛛の糸の幻影。

これは何を意味するものだったのか。

まず一つ重要なのは、「この世は地獄である」という八代の根本思想である。

八代はこの地獄世界で生きる「無垢なる子供を解放する」=子供を殺すことを自らの使命と考え、没頭した。

彼が救うべき、解放すべきと考えた人間の頭には、必ず蜘蛛の糸が光っていた。

そしてそれは、八代学自身の頭にもつながっていた。

つまり、八代自身も「この地獄のような世界」から解放されるべき存在であると、自ら認識していたことになる。

しかし、解放してくれる者はいない。

いない筈だったが、彼は闇の中から舞い戻った。

15年の眠りから目覚めた悟は、八代と闘い、そして買った。

彼の頭から蜘蛛の糸は消え、彼は地獄から解放された。

そして最期に「この世は生きるに値する」という結論に達する。

裁判の最期に八代は

「私は愚かでした」と語りだした。

そして、そんな愚かな彼を救おうとした「無上の勇気」が存在していたことを明かす。

「お前は愚か者だ。間違っている。絶対に間違っている。ただ、そう伝えるためだけに千里の道を舞い戻る。何度も何度も舞い戻る。そんなことができるのは、通常、考えられないほどの勇気を持った人間だけです」

「もともと彼は普通の人間でした」

「しかし、私が強烈に負の方向へ走ったために彼は生まれた」

「無上の勇気を奮い起こし」

「何度も苦しい道のりを馳せ戻り」

「そして、ついに私の蜘蛛の糸を切ってくれた」

「その勇気へ今日ここに私は、ここに感謝します」

八代の愚かな殺人を止めるために、何度もリバイバルを繰り返し、無上の勇気を振り絞って闘った悟に対して、彼はついに、感謝の気持ちを述べたのである。

八代学が望んだもの

彼は無罪判決など欲しくはなかった。

この世は「生きる価値がある」と理解した今、彼が葬ってきた生命の重さが、彼の心に重くのしかかっていることだろう。

彼にはスパイス=勇気がなかった。

自分は正しい場所にいるのか?

迷っているのではないのか?

その潜在意識の中にある不安が、彼をスパイス=勇気への自問という「計り知れぬ勇気を持って行動する者」への畏敬の念となり、現れたのだ。

まさに勇気の象徴である悟、彼の復活を15年間待ちわびた八代の想いはただ一つ。

自らを地獄から解放する、自分を縛り付ける蜘蛛の糸を切り離し、「前に踏み出す勇気」を言えることだったのだろう。

6月4日発売のヤングエース7月号からは、「僕だけがいない街外伝」が連載される。

どのようなエピソードが語られるのか、非常に楽しみだ。

僕だけがいない街の次に読むべきマンガ

いずれも、「僕だけがいない街」が面白かったというマンガファンには自信をもっておすすめできるサスペンス&ミステリー系マンガとなります。

詳しくレビューしておりますので、ネタバレをしたくない方は閲覧にご注意を。


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